ラブ&トラップ

コンコン

「帰るぞ。…って、おまえなにしてんだよ。」


オープンしてからろくに掃除していなかった倉庫の棚や空きロッカーを雑巾がけする私を見て、店長の眉間にしわが寄る。


「仕事しに来たのにずっと寝てただけで、このままじゃ帰れないですよ!ってことで、せめて倉庫の掃除を。」


「ククッ、本当におまえは。いくらなんでもそれはないだろ。」


手の甲を口元に当てて笑いを堪える店長。


てっきり今日のことめちゃくちゃ怒られてると思ってたのに、笑い飛ばすってどういうこと?


「気持ちはわからなくないが、やってることが的外れだろ。」


ひとしきり笑い終わった店長は自分のロッカーに名札をしまう。


「少しでも今日のこと反省してるんだったら、もう二度と今日みたいな顔で出勤してくんな。」


「おまえ自己管理さえしっかりしてれば十分だ」と付け加えて椅子に座る。


「はい。本当に今日はすみませんでした。」


店長に深々と謝罪をする。


もう同じ事は繰り返さないと、強く握り締めた雑巾に誓って。


「わかったら帰るぞ。さっさと雑巾もみだしてこい。」


まだ拭いていない棚に一瞬目を向けたけど、キリがいいところまで続きをしたい気持ちを押し殺して再び従業員用トイレに向かう。


倉庫に戻ると荷物をまとめる。

…って言っても、今日は制服にさえ着替えてないから、荷物を持つだけで帰る準備は整うんだけどね。


「あ、ブランケットありがとうございました。」



店長の座ってる椅子じゃないほうの椅子に置きっぱなしだったブランケットを軽く頭を下げて手渡す。


「ああ。これ忘れんぞ。」



渡したブランケットの代わりにミルクティーのペットボトルを手渡される。


これ私のじゃないんだけど。


ふとペットボトルのキャップにテープでとめられてるメモをみる。


『ゆっくり休んでね!鈴神さんには明るい笑顔が一番似合うよ!』


瀬名さんの字だ!

もう瀬名さん大好きですーーーっ