紘哉は本来の目的を思い出し、拗ねている恵一の背中に向かって声を掛けた。 「まぁ、そんな刑事のお前を見込んで頼みがあるんだけど」 「無理。もうお前の頼みなんて聞かねーから」 紘哉はしまったという顔をする。 もっと優しくするべきだったか? どうしようもなく途方に暮れていたその時。 「――まったく紘哉さんは素直じゃないんだから」 聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。