羽兎は嬉しそうに手を叩いた。

「あれ、マーマの小説から取り出したんだ」

「……あ?マーマ?小説?と言うか何語だ?」

頭にクエスチョンマークが浮かんでいる紘哉に向かって、羽兎はニシシと笑った。

「あれ?言わなかったっけ?
私、ハーフなんだよ。お父さんが日本人、お母さんが中国人の。
お母さん、孫紗江(そん さえ)って言うんだよ。だから私も中国に帰った時は孫羽兎(そん わと)って言うんだ」