ただ彼は呆気にとられて、彼女を見下ろすばかり。 早裕は彼の胸に顔を埋めていたが、次の瞬間顔を上げてハッキリと言った。 「このタイミングなんて不謹慎だ!って思うかもしれない。けど……ごめんね?」 「……」 紘哉はふぅと息を吐き出すと、早裕の腕をつかんだ。 そして―― 「――それは俺に対する挑戦状か?」 「えっ……」 形勢逆転。 彼は腕をつかんだまま、彼女を壁へ押し付けた。