11時過ぎ。 宝箱をポケットに入れた紘哉は、早裕の部屋のドアを叩いた。 すぐにドアが開く。 ネグリジェ姿の早裕は嫣然(えんぜん)と微笑み、彼を部屋に招き入れた。 「……で、話と言うのは?」 紘哉は窓辺に置いてあった椅子に腰掛け、早裕の顔を見ずに尋ねる。 今の早裕はネグリジェ姿。 正直目のやり場に困るのが現実だ。 「話ねぇ。本当は特に無いの」