彼女の腕には小さな柴犬が抱かれていた。

「うわぁー!カワイイ!」

羽兎は柴犬を撫でようと腕を伸ばす。

その瞬間、柴犬は狂ったように吠え出した。

羽兎は慌てて腕を引っ込め、紘哉は少し仰け反った。

「こら、ロックス!この人は悪い人じゃないから!」

早裕が腕を揺さぶって柴犬を宥める。
すると柴犬は大人しくなった。

「ロックスって言うの?」

羽兎が恐る恐る訊く。