「『ワトコ』っていうのは私のアダ名ですよ。 なぜだか知らないけど」 「そうだったんだ……」 早裕は納得したように頷いた。 ――一体この女は何をしに来たんだ? 紘哉はいてもたってもいられなくなり、口を開いた。 「で、用件は何ですか?」 「あ!忘れてました!!」 早裕はポンと手を叩き、ハンドバッグの中をごそごそと漁り始めた。 紘哉は羽兎の隣に座る。