船にあがると、船の床は眩しいくらいの真緑だった。
緑色は目に優しいと言うが太陽が降り注ぐ中の明るめの緑色は正直眩しいと思った。
船の上には私と同類と思われるカメラを首から下げた人種の人達ばかりだった。
互いにガイドブックを見せ合ったり、年期の入ったノートを見せたりしていた。
私はそれをみて一気にテーションが上がった。
私が目を輝かせていると、ジャーナリスト風な一人の青年が声をかけてきた。
「君達もツアーの参加者だよね?何回も参加してるけど若い女の子の参加者なんて珍しい。あっ、でも、彼氏さんの付き添いだったりするのかな?」
そう言われた私は瞬間的に一眼レフのカメラを掴んで
「あの人は彼氏でも何でも無いです!それに私が本命です!彼は一般人ですよ!!私、歴史と言いますか、こういった戦地後に興味があって!あの、何度も行かれていると言うことは岬の洞窟の方とかも行かれたことありますか?」
と目を輝かせながら言った。
悪意は全くなかった。
それから私その青年とマニアックなマシンガントークを繰り広げた。
しかし、出向のアナウンスでそろそろと言う事になり青年とアドレスを交換してから別れた。
周りを見ると彼は居なくなっていた。
狭くはある船の中を少し捜すと彼は船尾の屋根付きの休憩所の椅子に座っていた。


