あたしは弾んだ気持ちでキラキラ輝く綺麗な並木道を軽い足取りで彼がいるレストランへと急いだ。
そんな彼と待ち合わせているレストランは煉瓦(レンガ)の壁でできた、どこか優しい雰囲気の場所。
えっと……、レストランの名前は……なんだったっけ?
フレンチ・ド・コンフォート……だっけかな?
そこはなんでもフレンチサラダが主で、種類も豊富らしくヘルシーで食べごたえもあって女性に人気だと何かの情報誌で読んだことがある。
あたしがね、慶介に『ゆっくり話したい場所で』とそう言ったら、彼がそのレストランにしようって予約してくれたんだ。
彼はあたしの健康さえも気遣っててくれるジェントルマンみたいな人なんだ。
自宅から歩くこと約20分。
あたたかみのある煉瓦づくりの少し小さめのレストランが見えた。
片手開きの扉は木でできているみたい。
扉を開くと、同時にカランと乾いた鈴の音がした。
中へと入ると、あたしはたちまち白熱灯の優しい光に包まれた。
こじんまりとしているけれどとっても和める雰囲気で、まるで秘密の隠れ家のような場所だった。
「いらっしゃいませ」とウェイトレスさんの緩やかな声に導かれ、あたしは会釈そこそこに、店内をキョロキョロ見回して目的の彼を探す。
すると、奥から3番目くらいの席に彼はいた。
スッと伸びた背筋にパリッとしたカッターシャツを着こなした彼はひと目見ただけでも自信に満ちあふれた男性だとわかる。
その男性こそがあたしの恋人――麻生 慶介だ。
慶介は窓の外を見つめ、座っていた。