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――いったいどれくらい時間が過ぎたんだろう。

玄関のチャイムが鳴る音でふと目を覚まし、起き上がった。


ベランダに続く窓の外を見ると、そこはもう夕焼けが広がっていた。

どうやらあたしは何時間も眠ってしまっていたらしい。



――ああ、大変だ。

祈ちゃんを迎えに行かなきゃ。

そう思い、起き上がるものの、そこで潤さんの言葉を思い出し、はたと手を止めた。

あ、そうだ。

祈ちゃんは今日、端月(ハヅキ)さんと夕食を一緒にするんだった……。


時計を見れば、時間は6時をまわっている。



大変!!

夕食の準備どころか買い物にすら行っていないよっ!

そこで慌てていると、またチャイムの音が聞こえた。

潤さんが帰ってきたんだ。

だけどどうしよう。

夕飯の支度も何もしていないなんて知ったら、潤さん。きっとしょんぼりするだろうな……。


それとも、役立たずなあたしはやっぱり恋人にもできないと思われるのかな……。


さっきまであった涙がまたじんわりとあふれてしまう。

だけどまた泣いてちゃ、あたしはますます役立たずだ。

仕事から戻ってきた自分を出迎えることもできないのかと思われてしまう。


あたしは腕でぐいっと目を擦(コス)り、立ち上がると玄関まで急いだ。

ドアに取り付けてある覗き穴を見れば、そこにはやっぱり潤さんが立っていた。