だけどそれもあたしがこの家にお世話になりはじめてからは、あたしが3時になると祈ちゃんをお迎えしに行っている。
そうして潤さんが仕事から戻ってくるまでふたりで夕食の準備をしたり、絵本を読んだりして過ごしていた。
だから、空白のひとりの時間が少し寂しいと思ってしまう。
「寂しい?」
そんなあたしの感情はどうやら顔に出ていたらしい。
落ちてしまうあたしの視線を拾った潤さんは尋ねてくる。
それはそうだ。
だって、祈ちゃんはとても可愛い。
彼女がいるだけで心があたたかくなるし、気分もずっと和らぐ。
それに……。
そうだ。
夜8時まで祈ちゃんがいないということは、その間は潤さんとふたりきりなんだ。
手を繋ぐだけでもあんなにドキドキしたし、それに今、こうして視線を絡めるだけでも体は熱を持っている。
ものすごく心臓の鼓動が早い。
ふたりきりの2時間、あたしはどうしたらいいんだろう。
それはあまりにも恥ずかしすぎてどうにかなりそうだったから、潤さんと交わった視線が外れ、あたしの目は宙を泳ぐ。
「そんなにぼくと2人きりだと嫌?」
その声はとても悲しそうで、傷ついているようだった。
あたしの何気ない行動が彼を傷つけてしまったんだと思えば、胸のドキドキはズキズキに変化する。
顔を上げて彼を見ると、あたしはそれを否定するために大きく口を開けた。



