LOVELY☆ドロップ


「好きだよ」

だからどうか、もうひとりで抱え込まないで――。

もっとぼくを頼って……。



そういう意味を込めて愛おしいという感情を口にする。


「……でも、でも、潤さんには奥さんが……」

だが、美樹ちゃんはやはりなかなか観念してくれない。

また顔を俯け、美樹ちゃんの頬に触れようとするぼくの手をさりげなく避ける。


「彼女はもう天国に行ってしまった。そうだろう? ぼくには妻が必要だし、祈にも母親が必要だ。そう思ってはくれないかな?」

ぼくの必死な説得に、首を横に振る彼女はとても頑固者だ。


「でも、あたしは田舎者だし、美人じゃないです。お腹には違う人の子供だっているし……」

それは麻生 慶介に裏切られた傷が深い証拠だ。

彼女は自分の容姿に至っても自信をなくしている。

なんということだろうか。

ぼくを魅了してやまないというのに、彼女自身が自分に対して自信がないだなんて……。


「美樹ちゃんは可愛いよ。

君はぼくの理想の女性像そのものだ。

お腹の子は……ほら、血が繋がっていないのは祈だってそうだろう?

でも、祈は君をとても信頼しているし、それに君こそがお母さんだと思っているんだ」

それは、先ほど車内で何度も『ママ』と呼んでいたんだから、もうすでに立証済みだ。



「美樹ちゃん、お願いだ。うなずいてくれないかな」


もう限界だった。

これ以上打ちひしがれる彼女を見たくはない。