だけど、あたしは当然こんな馬鹿げたことに付き合うつもりはない。


赤ちゃんはあたしが育てる。

なんとしても阻止してやるんだ。


「いやよ。慶介には何の援助も頼まないし、貴方からのお金も必要ないわ。

この子はあたしが責任をもって産みます」




あたしは高圧的な態度の慶介とやり合うため、背筋をピンと伸ばし、睨(ニラ)み返した。

どんなことがあっても、お腹にいるこの子を亡くすことはできない。


だって、母親のあたしがこの子を捨ててしまったら、この子の味方は誰もいなくなってしまう。

お腹にいる赤ちゃんを見殺しにすることなんてできない。


彼がなんと言おうと、ずっと首を振り続けてやる!




「いいか、美樹? このままじゃ、お前は一生孤独だぞ? もし仮に今後好いた異性が目の前に現れたとしても子供がいるからと相手にされない暮らしを強いられるんだ。そんな暮らしに満足できるか?」

あたしが自分ひとりで育てると言っているのに、慶介はそれを許さない。


さもあたしのことを気遣うように話す。

だけど、彼はけっしてあたしのためを想って言っているのではないことぐらい、もうすでに知っている。


慶介の言っていることは全面的に間違っている。

だいたい、あたしには赤ちゃんがいるから孤独だなんて思わない。




――それに……好きな人になら、もう嫌われてしまった。