彼はとても優しい人だ。

何も持っていない裸同然のあたしに手を差し伸べてくれる。



それを実感すると、涙がこみ上げてくる。

妊娠してるからかな、今のあたしはとても涙もろい。



『妊娠』



自分の頭に過ぎった言葉に、胸がズキリと痛んだ。




――そう、あたしは妊娠している。

いつまでもこの家にお世話になるわけにはいかない。

潤さんには、あたしのお腹に慶介との間にできた赤ちゃんがいることは言っていない。


これ以上、彼に迷惑をかけることはできないし、それに――いつか近いうち、あたしはこの家を出なければならない。

だから赤ちゃんのことも話す必要はないと思っている。




これからどうしよう。


やっぱり実家に戻った方がいいのかもしれない……。


とはいえ、両親の反対を押し切ってここに来た手前、戻りにくいのもたしかだ。




ほんとに、どうしよう……。



☆♪♪TWO☆ドロップEND☆