そう思っている間にも潤さんのカウントは止まらない。
「さ~ん」
薬指が立ち、
「よ~ん」
小指が立った。
えええええええええ?
どうしよう、どうしよう、どうしようどうしようどうしたらいいの!?
あたしの頭はパニック状態だ。
視界がグルグル回りはじめる。
それはあまりにもパニックになりすぎていた。
あたしはわけがわからないまま、とうとう口を開ける。
「わっ!!
わかりました、そうさせていただきます!!」
潤さんが親指を立てそうになった時、自分でも意味がわからない言葉を口走っていた。
「そう、よかった」
彼はそう言うと口角を上げ、イタズラっ子のような顔をして微笑んだ。
その笑顔に、不覚にもあたしの胸がドキリと震えた。
「おいで、祈。おねいちゃんが一緒に住むってさ」
――え?
あたしが潤さんと祈ちゃんの家に住む?
彼の言葉であたしの頭の中が真っ白になる。
パニックになるあたしをよそに、小刻みな足音が向かってきた。
どうやら祈ちゃんは廊下からこちらの様子をうかがっていたみたい。
「ほんと? やったあ!!」
間近で明るい声が聞こえてくるのと同時に、あたしの首に小さな腕が巻きついた。
「やった!! おねいちゃんといっしょ!!」
「あ、あの……」
一緒に住むってどういうことでしょうか?
目の前にある潤さんの顔を覗きこめば――……。



