「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ!!」

さっきまで消えていた涙がまた、流れはじめた。

ひどい言葉を言ったにもかかわらず、なおも包み込んでくれる優しい潤さん……。


あたしはその彼の胸にすがり、謝っても謝りきれない謝罪の言葉を叫び続けた。



「美樹ちゃん、お願いだから泣かないで。

君が謝る必要なんてこれっぽっちもないんだよ?

君の置かれた状況や心情を考えればぼくに言った言葉は当然のものだったんだ」


泣きながら謝るあたしの目からほっぺたを伝って流れる涙を潤さんは指で受け止め、そう言ってくれる。


潤さんはあたしがひどいことを言って当然だと言うけれど、あたしはそうは思わない。

あたしが弱くて汚いから、優しい人たちがいるのも忘れて自分ひとりだけが不幸で、誰しもが絶望に向かうあたしのことを嘲笑(アザワラ)っているんだと思いこんだ。



だけど……。

本当は違う。

だって、少なくとも今、あたしの目の前にいる潤さんや、彼の子供さんの祈ちゃんは悲しみもがくあたしを嘲笑ってなんかいない。



そう思うと、さっきまであった悲しみに染まった胸はとてもあたたかくなってくる。


あたしを包んでくれている潤さんの真意を探ろうと顔を上げてみると、彼の瞳は、『汚れているところなんてひとつもない』と、そう言ってくれているかのようにあたしを真っ直ぐ見つめていた。


その優しい姿勢があたしの中にすんなり入ってくる。