甘い旋律で狂わせて

シンと静まり返るこの客席に残されたあたしは、静かにステージを見つめた。


ピアノのそばにひとり佇み、ステージに立つネオは、光溢れるその場所で寂しげにピアノの鍵盤を眺めていた。



ネオは静かに、ピアノのイスに腰をかけた。


動くたびに、フワリと揺れる黒い前髪から鋭い眼光が覗く。



その瞳はじっとピアノの鍵盤を見つめているけれど、微動だにせずに


ただただ、見つめるだけで



その手が鍵盤に置かれることはなかった。




ただ、一心に鍵盤を、見つめるだけだった。





一歩、一歩と、あたしは静かに客席の階段を降りながら

光溢れるステージへと向かう。




あたしの目に映るネオの姿が、だんだんと輪郭を大きくしていくにつれて

胸が、キュッと締め付けられるように感じていた。