甘い旋律で狂わせて

そんな二人の様子を見守っていたあたしたちは、互いに顔を見合わせ、そしてため息を漏らした。


「花音さん、私があなたにしてあげられるのはここまでよ」


薫さんはそう言って、あたしの目をじっと見つめた。



永都先生やネオと、同じその真っ直ぐな鋭い眼差しが、じっとあたしの心の芯を見つめているような気がした。



「私には、あの子のためにできることなど何ひとつない。でも、あなたなら……」



薫さんは、ステージにひとり残されたネオを見つめ

息をついて、そしてまた口を開いた。




「あなたならきっと、あの子を光溢れる明日へと導けると思うの」



薫さんはその言葉をあたしに残して、大きな扉の隙間から出ていってしまった……。