甘い旋律で狂わせて

ステージ上のグランドピアノに手を伸ばすのは、黒く長い髪が美しく揺れる、細身の女性だった。


女性というよりは、少女と呼ぶべきなのかもしれない。


表情はどこか、まだあどけない。


だけどとても美しい少女が、長い髪を揺らしながらピアノを弾いていた。



そして、その隣で彼女を見つめるのは

紛れもなく、ネオだった……。



「彼女よ。明日からのソロコンサートで弾くのは。白蕗 葵(しらぶき あおい)。今、売り出し中の現役女子大生ピアニスト。ネオは、彼女を教えているのよ」



薫さんは小さな声でそう言って、目を細めながらその光景を眺めた。