甘い旋律で狂わせて

今のネオは、きっと音楽に真っ直ぐに向き合えていないんだ。


永都先生のこと、お母さんのこと。

色々なものが、ネオを縛り付けている。



音楽に、向き合えなくしている。


現在(いま)を生きれないでいる。




あたしも薫さんと同じように、そう感じた。




「今、ネオはこのコンサートに出演するピアニストのプロデュースをしているの」



薫さんはそう言い、ひと際大きな扉の前に立った。



扉の向こうから、微かに聞こえてくるピアノの音色。


柔らかで、とても気品の溢れた音色だ。



薫さんはその音色を静かに聴きながら、ひとつ息をついた。


そして、扉を開いた。