甘い旋律で狂わせて

***

「着いたわよ、花音さん」


薫さんの言葉とともに、車のエンジンが止まる。


「ここは……?」



見慣れないその場所に、思わず当たりを見回す。


そんなあたしの様子を察した薫さんは、少し苦笑いを浮かべた。



「ネオは今、ここで仕事してるの。私もよく来る場所だけどね」



車の前にそびえ立つのは、この街では有名なコンサートホールだった。



「ネオが、今ここに……?」



今までに一度だけ、クラシックコンサートの観賞に訪れたことがある。


由緒ある、とても伝統的なコンサートホールだ。