甘い旋律で狂わせて

「母も、またひとりの人間なのよ。

ネオが幼いころから病気のことで、随分と苦しんでいたし。それに、突然永都まで失ってしまったとなれば……その心を平常に保つことが、どれほどに難しいことか。それを思うと、私は母に何も言えない」



悲しげに言う薫さんに、胸があまりに痛くなった。



こうやって、ネオのことや永都先生のこと、そしてお母さんのことまで全部

薫さんはひとりで受け止め、見つめてきたんだ。


薫さんの心の強さに、胸が痛くなる。




「どうして、家族なのにこうやって憎しみ合わなきゃいけないんだろう……」



そう言った薫さんの瞳が、少しだけ潤んだ気がした。