甘い旋律で狂わせて

「母はきっと、永都を失った悲しみから目を背け続けているんだと思う。残酷だけれど、それ以外考えることができなくなったのよ。

だけど、ネオにとってはあまりに辛すぎるわ。自分の存在を否定されたようなものだもの。それ以来、母がネオの名を口にすることもなかった。そんな母を憎んで、当然なのかもしれない」



そう言った薫さんの、凛とした横顔や鋭い眼差しに

なぜだか、ネオや永都先生を重ねて見てしまったのは


きっと、兄弟だからなんだろうと思う。



ネオは、どんな想いでいたんだろう。



自分のお母さんに、自分の名前を呼んでもらえないなんて。




「だけどね、花音ちゃん」



薫さんは痩せた笑みを、あたしに向けた。