甘い旋律で狂わせて

耳を塞ぐように、あたしは首を横に振った。


もう、終わったことを今さら考えたくはない。



だけど、薫さんはそんなあたしを射抜くような目で見つめ、唐突にまた言葉を紡いだ。



「ねえ、花音さん。あなたに付き合って欲しいところがあるの」


「えっ?」



日ももう落ちかけた頃、薫さんはそう言ってあたしの腕を強く握った。



「どうしても、あなたに会わせたい人がいるの」



そう言ってあたしを見つめる薫さんの眼差しは強くて、その強い視線に気押されるようにあたしは、言葉を返せないでいた。