甘い旋律で狂わせて

「つい最近のことだけど、あの子に会いにいったときに、あなたのことを少し話したの。今までみたいに、永都が好きだった女の子に手を出すのはやめなさいって、忠告するつもりだった。そんなことをしたって、永都はもういないし、お互いに傷つくだけだって。……そう、ネオに話したわ」


薫さんは、潮風になびく長い髪をかき分けながら、「だけどね」と静かな声で続けた。



「あの子は悲しそうな顔をしながら、こう言ったの。

“僕は手に入らないものばかりだ。欲しいものは全部、永都が持って行ってしまう。永都がいなくなった今でさえ、好きな女の心を奪っていってしまう”……って」



薫さんはそう言って、あたしの顔をじっと見据えた。



「“好きな女”って、そうはっきりと言ったのよ」



好きな、女?



「ネオは、あなたのことを“好きな女”だって、そう言ったのよ」



好きな、女だなんて…そんなこと……