甘い旋律で狂わせて

だけど、そんなネオにも唯一楽しめるものができた。


「ピアノ、弾いてみる?」と、母親がまだ幼いネオにピアノの鍵盤を叩かせた。


「その時のこと、鮮明に覚えてる。この子は天才だと思った。だって、一度メロディーを聴いただけで、すぐに自分で鍵盤を叩いて再現したんだから」


懐かしそうに言った薫さんの瞳は、とても嬉しそうにキラキラと輝いていた。


ネオは、一年一年と、ピアノの腕を上達させていった。


ピアノの先生をしている母親に教えられながら、才能の頭角を表していった。


「ネオにとっては、きっとピアノが誇りだったんだと思うわ。唯一ピアノを弾いているときだけが、とても楽しそうで活き活きしていたから」


薫さんはそう言っていた。


ネオがそんなに楽しそうに弾いていたんだ……と、少し不思議に思った。


だって、ネオが楽しそうにピアノを弾く姿って、あまり記憶にない。