甘い旋律で狂わせて

「いったい、どうしてそこまで先生のことを憎む必要があるんですか?」


先生のものを全て奪うほどに、憎んでいたなんて……。


あの、ネオが……?



――すると、薫さんは立ち上がって、飾られていた写真立てを手に取った。


永都先生と、ネオ――二人の写る写真をしばらく眺め

懐かしそうに、だけど悲しげにつぶやくように言った。



「ネオはね、自分の持っていた一番大切なものを永都に捧げたの。永都のために、自分の人生を捨てた。だから、きっと憎かったんだと思うわ」



ネオが一番大切なものを

先生に捧げた?



それはいったい……



「一番大切なものって……」




薫さんはあたしの問いに、俯きながら答えた。



「ピアニストとしての、人生よ」