何事もなかったようにふるまったネオに、唖然とその背中を見つめる。


あたしが見たものはただの幻?


さっきのネオは、いったい何だったの?




唇に残る熱い感触に、ゾクゾクと震えがまだ止まらない。



だけど……

深く、考えてはいけない気がした。


胸の鼓動が収まらないまま、あたしは今の恐怖感を思い過ごしだと言い聞かせて、振りきるように何度も息を吸った。


何か、見てはいけないものを見たような

開けてはいけない箱を開けてしまったような


――そんな感じがした。