甘い旋律で狂わせて

  
数日後、先生との初デートは海の見える夜の港になった。



駅の近くで待ち合わせをすることになって、あたしは浮かれながら身支度をしていた。


セミロングの髪を丁寧巻き、丹念にメイクをする。

おろしたてのワンピースにハイヒール。


大人な永都先生に合わせるため、うんと大人っぽいスタイルを選んだ。



ドキドキしながら待ち合わせ場所に向かい、先生が来るのを待っていた。



時々鏡を取り出し、メイクが崩れてないかチェックしたり。

ワンピースのすその皺を伸ばしてみたり。


待っている時間さえ、楽しくて仕方なかった。





それなのに………




待っても、待っても、


先生は来てくれなかった。



日が暮れて、やがて街にイルミネーションが灯りだしても、

先生は来なかった。