甘い旋律で狂わせて

「あの日からあなたは笑わなくなった。だから、いつも心配なのよ」


お母さんの言葉が、またあたしに“あの日”を思い出させた。



「お母さん、もうそのことは忘れたいの。あたしは大丈夫だから。心配しないで」



納得いかないような顔だったけれど、お母さんはゆっくりと頷いた。



「わかった。お母さんはあなたを信じるわ。でも、一人で思い悩まないでね。お母さんもお父さんも、あなたが心配でたまらないんだから」


「うん、わかってる」



お母さんは少しだけ微笑み、立ちあがって部屋を出ようとした。




「ねえ、お母さん」



そんなお母さんを呼びとめる。



「何?」



お母さんは振り返って、あたしの顔を見つめた。