甘い旋律で狂わせて

「名前が一緒だから?」


率直な質問に、首を振りながら笑う先生。


「いや。花が咲いていくように、重なっていく旋律が、おまえのイメージにあってるから」


急に真剣な顔で言われた言葉に、ドキリと鼓動が大きく響いた。


先生の表現のしかたがあまりに綺麗で、嬉しくなって思わず顔が緩んだ。



「あたし、そんなに綺麗なイメージなの?」



先生の顔を見上げ、尋ねる。


だけど、先生は困ったような表情をして、何も言わずに目をそらした。




……永都先生は、きっとあたしの気持ちを知っている。


だけど、気付かないふりをしてる。




あたしが教え子だから?


まだ子供だと思ってるから?


それとも……女としては、見れないの?