甘い旋律で狂わせて

深く頭をさげたネオが、ゆっくりと顔を上げたその瞬間だった。



はっきりと、ネオの目があたしを捉えていた。



鋭い瞳の中に、たしかにあたしを映し出していた。




まるで時が止まったかのように

二人の見つめ合う時間が、とても長く感じて



ハッと我に返ったときには、もう遅かった。



ネオが、あたしを見つけた。


その目が、あたしだけを見ていた。



そして、少しだけその唇が動いていたのを、あたしは見逃さなかった。



『花音』



どんな大きな歓声に掻き消されようと

その甘い声は、あたしの耳にたしかに響いていたんだ。