甘い旋律で狂わせて

「花音、どうしかした?」


車を降りて歩き出したとき、悠貴があたしの様子の異変に気づいた。



「ううん、何でもない」



手が、震える



「寒いのか?大丈夫か?」



口の中が、カラカラになる



「だ、大丈夫だよ。ほんとに」



必死で笑顔を作れば、悠貴は心配気にあたしの顔を覗きこんだ。



「それならいいけど、体調悪くなったらちゃんと言うんだぞ?」



悠貴の気づかいが心苦しくて、あたしは精いっぱいの笑顔で頷いた。



「さあ、行こう」


悠貴はあたしの手を引いて、足早に歩き出した。