甘い旋律で狂わせて

***

「悠貴……どうして、ここへ?」


悠貴の運転する車が着いた場所に、あたしは思わず声を上げた。


「この前は俺が仕事で一緒に来れなかったろ?だから、あの日のお詫び」



そう言って笑顔を見せた悠貴に、複雑な思いを抱きながら車を降りる。




目の前に広がる広大な夜の海。


そう、ここは悠貴が急な仕事で一緒に来られなかった、ディナークルーズの港。



いつか永都先生と待ち合わせをした場所。


そして、初めてネオのピアノを聴いた場所……。




「ディナークルーズ、花音と一緒に来たかったんだ」


そう言ってチケットを手渡されると、胸が痛くなった。