甘い旋律で狂わせて

「まだ、怒ってるのか?仕事をやめろって言ったこと」


疲れたような物言いの悠貴に、あたしは悠貴に言われた言葉を思い返していた。


そういえばそうだった。


あたし、悠貴に仕事をやめるように言われたんだっけ……。



その後のネオと過ごした夜のことを考えてばかりいて、そんなことさえ忘れてしまっていた。




「べつに、怒ってるわけじゃないよ。先に帰ってしまってごめんなさい」


「いや、いいんだよ。このことはまた話し合おう。それよりさ、花音。今から会えないか?」


「えっ?」



悠貴の言葉に、無意識に背筋がピンと伸びた。



「ただ、花音に会いたい。それだけなんだけど……」



苦笑いをするようなこもった声が、あたしの耳に響いた。