甘い旋律で狂わせて

「あなたは………幸せなのよね?」


ふいに発せられたお母さんの言葉に、あたしは手に持つ雑誌を下ろした。



念を押すような言葉の響きと、お母さんの真剣な表情。

どこか疑うようなお母さんの目に、心の底を見透かされている気がした。



「お母さんはね、花音自身がちゃんと幸せになってほしいと思ってるのよ。ちゃんと、心から笑えるようになってほしいと思ってるのよ」


心から、笑えるように……。


その言葉に、思わず目を背けた。



「今の花音は、心から笑ってないわ。まるで表情のない人形みたいよ」


「・・・お母さん、あたしは・・・」


「まだ忘れられてないからじゃない?」



その声に、あたしは思わず顔を上げた。