甘い旋律で狂わせて

そのまま、あたしはすぐに音大をやめて就職した。


ピアノを弾くのもやめた。


音楽を聴くことさえ、しなくなった。



あれからもう5年。


あの日からぽっかりと開いてしまった心の空洞。


それを埋めるように、無心に会社での仕事に打ち込んで。


そして、悠貴と付き合い始めて。


なるべく、先生のことを考えないようにしてたつもりだった。



結婚を決めて、新しい人生をスタートさせる。


そうすれば、きっと忘れられると思った。