「どうだった、女の下半身は?」
開口一番がこれである。
目の前の有馬さんは少しふて腐れたような表情で、蔑んだ瞳を俺に向ける。
昨日の合コンは、まあ一言で表せば普通だった。
宮瀬さん以外の大学生もみんな可愛くて、話し好きで少し疲れたけれど。
でもケーキは格別だった。大学生なだけあり、俺が甘いもの好きだと知ると余分にデザートを頼んでくれたりもして。
「良かったよ、美味しかったし」
「最低だな貴様」
何故か最低呼ばわりだ。
あれ、そういえばさっき下半身がどうたらこうたら言ってたような。俺はケーキのことを言ったんだけど……まあいっか。
昨日自分で有馬さんと合う約束をしてしまった俺は、学生の一日を終え仕方なく保健室もとい基地にいた。
「これだからこの年頃の人間は……」
有馬さんは既に到着していて、だが昨日の質問など忘れているようだった。一人でぼそぼそ呟いている。
俺はさっき自販機で買ったココアを一口飲んだ。温かい。
「お前等、相変わらずそれぞれがマイペースだな」
俺と有馬さんのやり取りを静かに見守っていた、というより鬱陶しそうに見ていた南先生が口を挟んだ。


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