有馬さんは宇宙人



 今日最後の授業は古典で、当然ながら爆睡だった。

 誰かに名前を呼ばれて目が覚める。教室内はすでに人はまばらだった。


「あ~、もうHR終わったの?」

「とっくにだ!寝ぼけてないで準備しろ!」


 俺を起こした本人であろう山田が急かす。心配しなくても俺は手ぶらなのだ。準備などいらない。

 ところでなんの準備?

 そう首を傾げれば、頭を思いっきり叩かれた。

 見上げれば呆れた顔の藤本くん。


「合コンのや!もう約束忘れたんかこのニワトリ頭は!」

「痛い痛い、余計に頭ばかになるからやめて」

「もう手遅れやわ!」


 二人ともご立腹である。

 俺はマフラーを巻きなおし、ゆっくりと席を立った。それを見届けた二人も、各自の荷物を持って教室を出る。

 池田は校門の前にいるらしく、何やら山田が携帯で話している。


「なんかあったの?」

「いんや、相手は大学生やからな。車で迎えに来てくれてんねん」

「へー」

「もう校門前におるらしいで」


 まさにわくわくといった感じの藤本の言葉に適当に返して、俺はケーキのことを考えていた。

 でもまあ、電車や徒歩でいくよりは車のが有り難いけど。