有馬さんは宇宙人



 訂正するのも面倒なので大丈夫とだけ言っておいた。何が大丈夫なのかは俺もしらない。


「そうか、残念だな」


 なんだか妙に寂しそうにする有馬さん。会議などまた開けばいいんじゃないんだろうか。


「200年に一度の会議だ。次の会議まで貴様が生きているとは思えんが」

「……そうとは言い切れないだろ」


 言い切れるけどな。

 俺の返事は完全に適当だった。


「そうだな。200年後が楽しみだ」


 でも有馬さんの発言も大概なので、これくらいがちょうどいいんじゃないかと思っている。


「出来たぞ!これで元通りだ!」


 ガムテープでいびつに修復したジョウロを片手に喜ぶ有馬さん。

 その横顔が妙に人間臭く感じて、なんだか違和感。俺は無意識に目を逸らして空を見上げた。

 一つの絵画のような空の中、雲だけが穏やかに動いている。


「あー、眠い」


 そういえば今日は授業中に寝なかったっけ。あれ、寝たっけな。どっちでもいいや。

 でもここで寝たら風邪悪化しそうだし。保健室も基地となった今面倒だから行きたくないし。


「教室戻るか」

「それがよい。防衛軍には勉学も必要だからな」


 有馬さんはいいのか、と思いながら重たい腰を上げた。