有馬さんは宇宙人



 今日は厄日なんだろうか。

 噂を毎日耳にすることはあっても、有馬さんご本人を一日に2度も拝むなんてそうそうあることではない。多分。

 有馬さんは俺を見上げると、髪同様色素の薄い大きな瞳を瞬かせた。


「新入隊員くんではないか!」


 純粋無垢な笑顔を浮かべ、肩を叩かれる。ハッハッハ、と笑う様はどこぞの軍のお偉いさんのようだった。


「なんだ夏目、お前有馬と仲良いのか」

「いやあ…仲良い訳では…」

「仲など関係ない、共に地球を守る同士だ」


 それも、違う気がする。


「丁度いい、地球防衛軍の本拠地を案内してやる」

「案内はいいがあんま荒らすなよ」

「わかっている」


 いや、できれば帰りたいんだけど。

 俺の意思も虚しく本拠地内を案内して貰う。本拠地も何もただの保健室なんだけどね。

「これがベッドだ」なんて当たり前な説明をしていく有馬さんの真剣さに免じて、付き合うことにした。


「で、コイツがここのシステム管理をしているニコチン中毒者だ」

「俺にも南という立派な名前があるんだけどな」

「ニコチンを止めない限り貴様に名前を名乗る権限はない。そんなんだからいつまで経っても下っ端のままなのだ」


 システム管理をするのは下っ端の仕事なのか。