無理な話なのだろうけど、あまり私には近付かないでほしい。

それを千駿に言ったところで「無理」の一点張りなのは予想できる。でも、千駿と私が傍に居続けることなんて


それこそが「無理」だ。




「聞いてるの真子?」

「え、ああ…うん。」

「(絶対嘘だ…。)」


眉根を寄せ露骨に怪訝と呆れを露わにした千駿の顔は、どんな表情でも様になるから腹立たしい。



はあ、とわざとらしく溜息を吐き出した千駿だけで私から視線を逸らすことはない。

その鋭く捕食者のようなギラつきを持つ瞳は、見つめられると身体の奥の方、…芯が疼く。


そう考えた瞬間、頬が自然と熱を持ち始め赤く染まる。