「じゃあ、何か食べに行こっか?」
そう微笑み小首を傾げて見せた希月さんに、また私は頷いておいた。
ちょっと準備してくるねと寝室に消えた希月さんを尻目に、深くソファーへと腰掛け顔を両手で覆う。
この空間で一人になる度、私は籠の鳥っとことを何度だって認識させられる。それが私にとっての足枷となるんだ。
と。
鞄の中でバイブレーションの震える鈍い音が閑静なリビングに小さく響いた。
「(メール…?)」
そう思い放って置いたが、一向に鳴り止まないそれにもしかしてと思い鞄へと手を伸ばす。
チャックを開け二つ折りのそれを取り出した瞬間、まるで嘲笑うように振動は止まる。
携帯を開きディスプレイを見て、やはり。画面の左下に表示されたのは《不在着信1件》の文字。


