すごく腹立たしいですけどね!

そう口にしない代わりに目で伝えようと睨み付けるが。


「なに、見つめないでよ。」

いやいやいやいや。誰が貴方を見つめたんですか絶対に違いますから。



はあ、と重たい溜息を吐き出した私は緩く希月さんを睨んだまま。


「…今、何時ですか。」



そう、問いかける。私の言葉に一呼吸ほど置いて希月さんはスーツのポケットから携帯を取り出して二つ折りのそれを開く。


「んー…と、19時半。」



携帯を閉じると同時、綺麗な笑顔で時刻を教えてくれた希月さんに小さくお礼を告げる。

19時半、どうりでお腹が減ってくるわけだ。腹の虫が鳴きそう。


そんな私の頭の中は希月さんにはお見通しらしく、お腹減った?と微笑まれたからそこは大人しく頷いた。