別に今、私おかしいことなんか言ってないだろう。

眉根を寄せ怪訝な瞳を希月さんへと向ければ、彼の脳内は最低に腐っていっているらしい。



「泣きながら御主人様お返し下さいお願いしますって俺に懇願してよ。常識じゃん。」

「え、ちょ、ええええええええええええ…!!」



大声を出す私に鬱陶しいと言いたげな目を送ってくる希月さんだけど。

それは断じて常識じゃない!!そんな常識、あるわけない。聞いたことない。


もう嫌、この人…。


若干泣きそうになりながらも力無く希月さんを睨む私を、目の前の男はニヤニヤと裏がある笑みで舐めるように見ている。




「真ー子。」

「…なんですか。」

「怒らないでよ。」

「怒ってないです。」