「んー……、あ。」
希月さんは思い出したと言わんばかりに笑うと、ちょっと待っててと言いリビングを出て行ってしまった。
一人になったリビングは静かで、それが胸を刺すような痛みとあの日を思い出させて仕方がない。
父も、母もいない。寂しくて悲しくて…
何も感じない時間は、苦しかった。なんて、何も感じないとか言っときながら矛盾している。
「真子ー。」
と。
希月さんの私を呼ぶ声で意識を現実へと浮上させる。ゆるり、視線を送った私は彼が持っているそれに絶句して、どん引きした。
「え、それって…」
「うん。真子の下着。」
「……、」
「わ、熱視線照れる。」
…どう反応を返せばいいんですかああああああああああ!!!!


