「何で…?」
私は、確かにそう聞いたのに。千駿から返ってきたのは「うん」という相槌だけ。
そのまま、千駿はブレザーのポケットから二つ折りのそれを取り出して弄り始めるから、私もそれ以上は聞かなかった。
だって、千駿のそんな自己中心的というか、気まぐれっていうか。
そんな所はいつもだし。
だから、大して気にもしなかった。てか一番はどうでも良かったし、まず行かないしね。
……そんな私の頭の中が見えたのか。
「絶対来てよ。」
千駿は、私の顔を覗き込みながら念押ししてきた。
その顔が何故かいつもみたいな飄々としたもんじゃなくて、ちょっと困ってるような。懇願するような顔だったから…。
「…分かった。」
そう、言ってしまった。


