起きた?と私の顔を覗き込んでくる希月さんに頷いて見せれば、案外すぐにその端正な顔は離れた。

希月さんが車から降りたことで私も次いで車を降りるが。


「あれ…?」



視界に広がったものが予想していた景色と違いそんな声が自然にもれた。


ここって……、

見覚えのあるそこに気が付いたときには、もう既に帰りたくなった。だって、ここ、





「なんで、希月さんの家なんでしょうか…?」


そう問うた私の声は少なからず震えていた。だって、ここに良い思い出なんてない。

寧ろ、脳内を走馬灯のように一気に駆け巡るのば希月さんを恐れだあのときのこと。



希月さんは私の背後に立つと。


「お前が休むって言ったから。」

「意味、分かんない…。」


別に分からなくていいよ、と。囁いた彼は私の肩に手をのせる。

背後に立つのは、私が逃げないようにするため?