からかわないで下さいと言えば尚も笑ったまま、希月さんは滑るように車を発進させた。


二人きりの車内に会話はなく、居心地は当たり前に最悪。

何で黙ってるんだこの人はとその横顔を盗み見るが、改めて彼の端正な顔つきを目に焼き付けるだけで終わる。



小さく溜息を吐き出した私は、窓の外へと視線を移した。


流れ作業のように過ぎていう景色をただぼーっと見送る。なんてつまらないんだろうか。



「ねえ、」


と。

沈黙で包まれていた空気を裂いたのは私じゃなければ当然希月さん。


それに窓の外へと向けた視線は逸らすことなく、何ですかと返事をした私。



「明日、学校休んでよ。」

「は…?」


私の挑発的ともとれる声に素直な返答、と笑う希月さんだが何を言いたいのかよく分からない。