その目、その声。




――希月さんは、にっこり私へと微笑んで見せると。

校門の壁へと預けていた体を起こし、私との距離を詰める。目の前で立ち止まった希月さんは、私の髪へと指を通し愛おしそうに撫でた。



「迎えに来たよ。」

「……日が、違う。」


私の言葉の意味を直ぐに理解したようで、ああと呟いた希月さん。


「封筒渡したついでに、千駿くんに言ったんだけどなー。」

聞いてない?と首を傾げた彼を緩く睨み。



「あんなもの、他人に渡したりしないで下さい。」

「えー、大丈夫でしょ。」


へらり、笑う希月さんは苦手だ。と言うよりも、゙あれ以来゙希月さんという人物が苦手なのだけど。



私は、鞄に入れっぱなしにしていた茶封筒を取り出し希月さんへと突き出す。